『クレイマー、クレイマー』がもっと楽しくなる!9つの見所

『クレイマー、クレイマー』がもっと楽しくなる!9つの見所
離婚や親権の問題を描いた『クレイマー、クレイマー』は1979年に公開された作品です。家庭を顧みない夫とそんな生活が嫌になり家を飛び出した妻。残された夫と息子のぎくしゃくした生活が始まります。しかし、そんな二人も一緒に過ごすうちに成長していき、見ている方は深い感動に包まれます。二人がいったいどのような成長を遂げていくのか。今回は『クレイマー、クレイマー』の見所を紹介したいと思います。



 

『クレイマー、クレイマー』が
もっと楽しくなる!9つの見所

 


1.母親の顔から一人の女性の顔へ


ストーリーの冒頭は、母親のジョアンナ・クレイマー(メリル・ストリープ)が悲しげな表情で子どもを寝かしつけているシーンで始まります。これから子どもを置いていくことを考えると胸がつまり、寝ている子どもにすがりつく姿は母親の深い愛情を感じます。しかし、次に顔を上げたとき、すでに母親の優しい顔はなくなっています。母親の顔とこれから家を出ていく一人の女性の顔への移り変わりは息をのむほどです。

 


2.終わりを迎える夫婦


妻の異変に全く気付いていないテッド・クレイマー(ダスティン・ホフマン)は仕事の成功を意気揚揚と妻ジョアンナに話します。妻に別れを告げられてもテッドは事の重大さを理解しておらず、しびれを切らしたジョアンナは出て行きます。少し焦りだしたテッドはジョアンナを引きとめますが、ジョアンナははっきりと「もう愛していない」と告げ、テッドのもとを去ります。突然の出来事に呆然とするテッドですが、すぐに帰ってくるだろうと考え始めました。夫と妻の温度差がリアルに描かれているシーンです。

 


3.父親と息子の心が寄り添う


母親が出ていき、息子のビリーは寂しい思いをします。しかし、テッドは仕事が忙しいことを理由にビリーにかまいません。ビリーは気が引きたくてわがままを言ったり、母親のことを口に出しますが、テッドはそれに苛立ちを覚え、頭ごなしに怒るばかり。しかし、「パパも行っちゃうの?ママは僕が悪い子だから出ていったの?」と悲しむビリーに、テッドは自分の態度がビリーを傷つけていたことを知ります。反省したテッドは、自分の考え方や生き方が間違っていたことを認め、ジョアンナが出ていった理由は自分にあると告げました。はっきりと心の内を話してくれたテッドをビリーは受け入れ、心通わせます。

 


4.本当の父親へ変化していくテッド


当初、テッドとビリーの間には距離感があり、よそよそしく、親子というにはほど遠い関係でした。しかし、次第にテッドも父親としての自覚を持ち始め、自転車の練習に付き合って我が子の成長を写真に撮ったり、お遊戯会に参加するようになりました。また、息子の話を会社で恥ずかしげもなくするように。そして、ビリーが怪我をして手術が施されるとき、医者にそばにいる必要はないと言われますが、「息子だからそばにいる」と告げる場面はテッドがビリーの父親になったことがわかるシーンのひとつです。

 


5.いってきますのキスを忘れずに


ビリーを初めて学校へ送ったとき、テッドはビリーを引きずるように手を繋いでいました。また、会話もぎごちなく、二人の間には暗い雰囲気が。しかし、親子となった二人は学校まで手を繋ぎながら自然に会話をするようになりましたし、別れる際には“いってきますのキス”をするようになりました。このシーンは、映画をここまで見ている人なら誰しもが驚き、そして心温まることでしょう。

 


6.親権を巡る裁判


幸せな日々を過ごすテッドとビリーでしたが、ジョアンナが現れ、ビリーを引き取りたいと言い出します。ビリーが生甲斐になっていたテッドはそれを拒否。親権を巡る裁判が始まります。そこで二人は夫、妻、そして息子に対しての心の内を明かします。ここで相手の本心や変化を知り、気持ちが揺らぐ場面では、対立関係にありながらも思いやりを感じます。争いの場になってやっと互いの気持ちがわかるという皮肉さが伝わってくるシーンです。

 


7.かけがえのない存在になった二人


裁判に負けてしまったテッドは、これから一緒に住めないことをビリーに告げます。寂しい気持ちもありますが、ビリーが不安にならないようジョアンナと一緒にいればいい暮らしができると話しますが、ビリーは涙を流します。テッドにとってビリーは生甲斐でしたが、ビリーにとってもテッドは大切な存在となっていたことがわかります。

 


8.最後の朝食はフレンチ・トースト


ジョアンナが迎えにくる朝、二人は朝食にフレンチ・トーストを作ります。ジョアンナが出ていった次の日に作ったものと同じです。しかし、最初のような手際の悪さは一切ありません。テッドはフライパンをすぐに出せるし、卵もボールに割ります。牛乳も入れすぎません。ビリーは手早く卵をかき混ぜますし、もうテッドにおどおどしていません。二人の成長がよくわかりますね。

 


9.これからの三人


ジョアンナがビリーを迎えにきましたが、テッドとこのまま暮らすことがビリーの幸せであり、自分は引き取ることを諦めると告げます。驚いたテッドでしたが、ジョアンナの考えに従うことに。テッドはビリーと二人きりで会ってくるよう提案し、マンションのエントランスに残ろうとします。エレベーターに乗り込んだジョアンナは自分の格好が大丈夫か聞き、テッドは「素敵だ」と笑いかけます。その台詞に微笑むジョアンナを見て、今後の三人の未来はたとえ交わらなくとも、明るいものになると思わずにはいられないシーンですね。

 

如何でしょうか。

始めは不安ばかりでしたが、徐々にビリーと心通わせていくストーリーは心温まるものがあります。その反面、夫婦関係や子育てなど、現代社会が抱える問題を扱っており、自分の生活を見直すきっかけになる可能性も。この記事を見て、少しでも『クレイマー、クレイマー』に興味を持っていただければ幸いです。

 

まとめ

『クレイマー、クレイマー』が
もっと楽しくなる!9つの見所

1.母親の顔から一人の女性の顔へ
2.終わりを迎える夫婦
3.父親と息子の心が寄り添う
4.本当の父親へ変化していくテッド
5.いってきますのキスを忘れずに
6.親権を巡る裁判
7.かけがえのない存在になった二人
8.最後の朝食はフレンチ・トースト
9.これからの三人