『サイダーハウス・ルール』見逃せない!9つの見所

『サイダーハウス・ルール』見逃せない!9つの見所
アカデミー賞など輝かしい受賞歴を持つ『サイダーハウス・ルール』は、今でもヒューマン・ドラマの代表作として、「泣ける映画」「感動作」の筆頭に挙げられるほど、観る者に静かな感動を与え、人々の記憶に残りつづける映画です。『ガープの世界』などで知られる原作者が、脚本を手がけたことでも話題になった本作の見所を、9つのトピックにまとめました。以下、ネタバレとなりますが、ぜひ参考にしてみてください。



 

『サイダーハウス・ルール』
見逃せない!9つの見所

 


その1:孤児院から出ずに育った主人公ホーマー


舞台はメイン州ニューイングランドの山中にある、セント・クラウズ孤児院。そこで生まれ育った主人公ホーマー・ウェルズ(トビー・マグワイア)は、院長のウィルバー・ラーチ医師(マイケル・ケイン)が父親代わりとなり、息子同様に愛されて育った。医師から心臓が弱いと言われた彼は、孤児院から出たことがなく、海さえも知らない。しかし他の孤児同様、人知れず誰かがここから連れ出してくれるのを待ち続けていた。

成長したホーマーは、ラーチ医師の右腕として、出産の助手や、孤児たちの世話をして働いた。ラーチの教えは「人の役に立て」だった。ラーチ医師はホーマーを後継ぎにするつもりだが、彼は医師免許がないため、自分では医者として人の役には立てないと考えていた。またホーマーは、ラーチ医師が孤児を増やさないために堕胎手術を行うのが理解できないでいた。

 


その2:孤児院からの旅立ち


孤児院に一組の若いカップルがピカピカのオープンカーで登場する。美しい娘キャンディ・ケンドール(シャーリーズ・セロン)と軍服姿のウォリー・ワージントン(ポール・ラッド)だ。二人は恋人同士だが、堕胎手術を受けるために来た。手術中、車で待つ【解放者(リベレイター)】機のパイロットであるウォリーに、ホーマーは「ぼくも乗せていってくれないか?」と言う。ホーマーは、とうとう孤児院から旅立つと決めたのだ。

 


その3:新しい世界と、サイダーハウスでの仕事


ウォリーの家はりんご農園を経営しており、ホーマーはそこで住み込みで働くことになる。ほどなくしてウォリーは、キャンディを残し戦地へと戻った。ホーマーはサイダーハウスと呼ばれる小屋で、ミスター・ローズをボスとする季節労働者たちと寝食を共にし、仲間となる。彼はこの仕事で「人の役に立っている」と実感し、充実した日々を送った。やがてりんごの収穫を終えると、仲間たちは次の農園へと移っていった。

 


その4:キャンディとの初恋


恋人のウォリーが戦地に向かい寂しいキャンディは、次第にホーマーとの距離を縮めていく。ロブスターを知らないホーマーに、ロブスター漁を教えてごちそうする。映画は『キングコング』しか観たことがない彼を、ドライブインシアターや映画館に連れて行った。ホーマーにとって、サイダーハウスでキャンディと過ごす日々は、新しい人生そのものだった。二人は自然に恋に落ち、ウォリーに後ろめたさを感じつつも、関係を深めていく。

 


その5:ラーチ医師と永遠の別れ


その頃セント・クラウズ孤児院では、ラーチ医師の進退問題が浮上していた。ホーマーを呼び戻したい一心のラーチ医師は、彼の卒業証書などを偽造してまで、ホーマーを自分の後継者に仕立て上げ、彼に診察カバンを送りつけた。しかしホーマーは、キャンディとの恋を手放すつもりはない。彼の意思を知ったラーチ医師は、失意のまま、まもなくこの世を去ってしまう。

 


その6:ローズ・ローズの望まない妊娠


キャンディとの幸せな日々はあっという間にすぎ、再びりんごの季節が巡る。労働仲間と久々の再会だったが、彼らは浮かない様子だ。特にミスター・ローズの娘ローズ・ローズは体調も悪く、ひどく落ち込んでいる。すぐに彼女の妊娠に気づいたホーマーだが、声をかけても、彼女はふさぎ込むばかりだ。そこでキャンディがようやくローズから聞き出したのは、彼女を妊娠させたのは彼女の父Mr.ローズだという、信じられない事実だった。

 


その7:恋人との別れ


ある日、ウォリーが戦地で下半身不随になり、帰還すると知らせが入った。動揺するキャンディに、ホーマーは「僕はどうすればいい?」と尋ねると、彼女は「何もしないで」と答えた。ホーマーは、自分が彼女に必要とされていないと悟る。一方で、傷ついたウォリーには彼女が必要だ。「人の役に立て」と教えられたホーマーは、キャンディとの別れを選ぶ。

 


その8:ローズ・ローズの堕胎手術


子供を産みたくないローズ・ローズが夜中に逃げ出そうとし、父に捕らえられた。ホーマーは彼女の苦しみを知り、彼女の堕胎手術をする決意をした。手術後、ホーマーは壁に貼られたサイダーハウス・ルールを読みあげた。誰が作ったか知れないそれに仲間たちは憤り、「ここの規則を決めるのは俺たちだ」と、貼り紙をホーマーに燃やさせる。翌朝、ローズ・ローズは父を刺して姿を消した。父ミスター・ローズは娘をかばい、仲間たちに「自分は自殺した」と警察に供述するよう遺言して、息を引き取った。

 


その9:サイダーハウスを去る


りんごの収穫を終えたホーマーは、仲間と共にサイダーハウスを去る。去り際、キャンディが戦地から戻ったウォリーを迎えるのが見えた。それが、彼が最後に見たキャンディの姿だった。ホーマーはひとり列車に乗り、セント・クラウズ孤児院に戻った。懐かしい小さな友人たちに歓迎され、彼は笑顔を取り戻す。そして、こここそが自分が生きるべき場所だと実感し、医師としてラーチの後を引き継いだのだった。

 

如何でしょうか。

この映画のオープニングとラストには、孤児院からの旅立ちと帰還のシーンを描く際、同じ駅のプラットホームが登場します。あえて同じシーンを利用することで、ホーマーの心の中に起きた変化を描きだしています。ホーマーは、誰にも望まれずに産まれた孤児です。しかし、そんな自分にも自分を導いてくれていた父(ラーチ医師)と、自分を迎え入れてくれる家族がいたことに気づきました。善悪ではなく、深すぎる愛情が、迷いを生み、いつのまにか大切なものを傷つけてしまう。この映画では、そんな愛情に満ちた人間模様が描かれています。

『ギルバート・グレイプ』や『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』など、次々に感動作を生み出すラッセ・ハルストレム監督と、『ガープの世界』のジョン・アーヴィングがタッグを組んだ至極の感動作を、ぜひこの機会に、ニューイングランドの美しい映像とともにご覧下さい。

 

☆おすすめ映画☆
・ガープの世界
・ギルバート・グレイプ
・マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ
・リリィ、はちみつ色の秘密
・BIUTIFUL ビューティフル

 

まとめ

『サイダーハウス・ルール』
見逃せない!9つの見所

その1:孤児院から出ずに育った主人公ホーマー
その2:孤児院からの旅立ち
その3:新しい世界と、サイダーハウスでの仕事
その4:キャンディとの初恋
その5:ラーチ医師との別れ
その6:ローズ・ローズの望まない妊娠
その7:恋人との別れ
その8:ローズ・ローズの堕胎手術
その9:サイダーハウスを去る