『ブレイブハート』は、1995年にアメリカで制作された映画。スコットランドの独立と自由のために戦った実在の英雄、ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた歴史スペクタル映画です。主役のウィリアム・ウォレスを演じるメルギブソンは、監督と製作の3役を兼ね、第68回アカデミー賞で、作品、監督、撮影、音楽(ドラマ部門)、メイクアップ、音響効果の6部門にも及ぶ受賞作品としても話題になりました。
その主演俳優でもあり、監督でもあるメルギブソンの、『ブレイブハート』制作における裏話を中心に、この映画にまつわる裏話などもご紹介しますので、ご参考にしてみてください。
『ブレイブハート』
メルギブソン他、俳優たちの9つの裏話
1.メルギブソンと作品との関係
オーストラリアのアクション映画「マッドマックス」で、センセーショナルなデビューを飾ったメルギブソン。オーストラリア生まれと思われがちですが、生まれはアメリカのニューヨークで、じつは、アイルランドの血をひく家系なのです。アイルランド人の祖母の影響も強く、スコットランド独立のために戦った英雄、ウィリアム・フォレスの生涯に魅かれ、監督として2作目にあたる「ブレイブハート」をアカデミー賞6部門受賞作の大作にまで創り上げたのです。
2.ウォレス役のメルギブソン
主役のウォレスも演じる、監督のメルギブソン。ウォレスの実際の年齢を考えると、彼は少し歳をとりすぎています。歴史上でのウォレスは25歳位のところ、当時30代後半ほどのメルギブソンには、ちょっと無理があるのでは・・・と思いますが、メルギブソン自身もその点は懸念していたそうです。もっと若い俳優を使うつもりでいたものの、映画会社が許してくれなかったと語っています。また、映画の舞台となるスコットランドでは、どうしてアイルランドの血をひくメルギブソンが、スコットランドの英雄を演じるのか、映画が公開されるまで非難の声もあがったそうです。それほど、イングランドに隣接する諸国間の間には根深いものがあるのですね。
3.そっくりなウォレス像
ヨーロッパのどこよりも先駆けて、映画にもゆかりのあるエジンバラ城で、一般公開前のプレミアショーは開かれ、その騒ぎは尋常ではなかったそうです。自分たちの英雄ウォレスをスクリーンで見た人々は共感し、映画に刺激を受けた活動家や団体を中心に、活発な独立運動が高まったのも事実です。そして、ウォレスモニュメントがそびえる丘のふもとには、最新のウォレスの石像まで設置されます!それは、今までの像と違ってどこから見てもメルギブソンそっくりな像で、作者のトム・チャーチはブレイブハートを見て強く触発され、この映画に捧げなくては、と思わずにいられなかったと語っているほどです。
4.アイルランドでの撮影と軌跡
素晴らしい風景も、数多く登場するブレイブハートですが、映画の大部分は、アイルランドで撮影されたそうです。最初の構想では、スコットランドで撮る予定でいた戦闘シーンなども、約700年前そのままを残していた、アイルランドの広々とした2つの平原で、CGを一切使わずに撮影されたそうです。ただ、妃イザベルと侍女が話す城の中庭と、ウォレスが捕らえられた地下牢のシーンだけは、廃虚となっているアイルランドの修道院に、念密に手を加えてセットを作ったそうです。その見事なセットは、観光用にと望む地元の願いから、解体せずそのまま残されているそうです。
5.メルギブソンのこだわり
史劇に伴う特殊な大道具、小道具、衣装などはメルギブソンの方針で、できるだけ当時に忠実に再現されたそうです。タータンのキルトを織るために、伝統職人が総動員されたなど、徹底ぶりがうかがえます。また、戦いのシーンでは、当時の戦い方をCG等使わず撮影するために、戦いの場面を集めた数々のフィルムを熱心に研究したそうです。その中でも特にひらめきと刺激を与えたのは「オーソン・ウェルズのFalstaff(65年製作 原題 “Campanadas a medianoche”)。あの時代に、少ない予算であれだけのすばらしい演出をこなすなんて、信じられないよ。大いに参考にさせてもらった」と、メルギブソンは語っています。
6.数千人のエキストラとハプニング
兵士として出演した数千人のエキストラたち。戦いのシーンに強くこだわったメルギブソンは、現アイルランド予備軍の兵隊たちにも、エキストラ出演を頼んだそうです。その見事な戦いぶりをCGも使わず熱演したエキストラたちですが、ちょっとしたハプニングもあったようです。数千人もの騎馬隊をロングレンズで遠くから撮影するために、サングラスをかけていたり、腕時計をしていたことに、撮影中は気が付かなかったそう・・・。主要な戦いのかなりのシーンを再撮影しなければならなかったそうです。また、あるシーンでは、背後に走行している白色の乗用車(バン)が映ったままになっているそうですから、相当大規模な撮影だったのが想像できます。
7.ソフィー・マルソーの英語圏デビュー
フランス映画「ラ・ブーム」(80年製作)の主役でデビューするなり、一躍トップアイドルとなったソフィー・マルソー。英語を勉強し、英語圏の映画に出演し、英米でもしられるようになったのが、この「ブレイブハート」の妃イザベラ役でした。本当の歴史には登場しない、フランスから政略結婚のため嫁ぐ王妃役は、まさにソフィー・マルソーの英語デビューために作られたような役どころです。
8.FREEDOM
公開当時から、1990年代後半にかけて巻き起こる、スコットランドのイギリスからの独立という風潮に、「ブレイブハート」は影響を与えました。公開から2年後1997年には、スコットランド独立議会設立の住民投票が行われ、70%以上の支持を得て、2000年から独立した議会による自治が始まりました。この投票前、国中にメルギブソンの顔とFREEDOMの文字が描かれたポスターが溢れ、公開から2年経っても、映画の話題は熱く語られていたそうです。議会設立式典に招待されたメルギブソンですが、出席はせずこの話題に関しては、正式コメントも発表していないようです。
9.モノマネ上手な監督メルギブソン
いたずら好きでも有名なメルギブソン。監督として撮影中にも、そのお茶目な面が現場を和ませたそうです。例えば、ウォレスの父親の葬儀などシリアスなシーンの撮影中は、アニメーション番組のキャラクターのモノマネをしながら監督したそうです。お蔭で、多くの役者たちがシーンの途中で笑い出してしまい、NGシーンが続出したそうです。
如何でしたでしょうか。
『ブレイブハート』メルギブソン他、俳優たちの9つの裏話をご紹介しました。多くの映画で新しい編集技術が使われる中、あえてCGを使わず、当時を再現するためにこだわった壮大な撮影シーンが数多く登場するブレイブハート。美しい映像や衣装など、13世紀のスコットランドに想いを馳せながら、ご覧になってみてはいかがでしょうか。
☆おすすめ映画☆
メル・ギブソン
・ハート・オブ・ウーマン
・パトリオット
・身代金
・陰謀のセオリー
・リーサル・ウェポン
ソフィー・マルソー
・ラ・ブーム
まとめ
『ブレイブハート』メルギブソン他、俳優たちの9つの裏話
1.メルギブソンと作品との関係
2.ウォレス役のメルギブソン
3.そっくりなウォレス像
4.アイルランドでの撮影と軌跡
5.メルギブソンのこだわり
6.数千人のエキストラとハプニング
7.ソフィー・マルソーの英語圏デビュー
8.FREEDOM
9.モノマネ上手な監督メルギブソン