『グレムリン』モグワイに命を吹き込んだ7つの撮影技術

『グレムリン』モグワイに命を吹き込んだ7つの撮影技術
1984年に公開された『グレムリン』の見どころのひとつは、あの可愛らしいモグワイたちだと思います。人形ということを忘れてしまいそうな繊細な動きや表情。当時はCG技術がなく、特撮技術が用いられていました。現在では消えかかっている特撮技術ですが、その技術は素晴らしいものです。今回は、あのモグワイたちが特撮技術によってどのようにして命を吹き込まれたのか紹介したいと思います。



 

『グレムリン』
モグワイに命を吹き込んだ7つの撮影技術

 


1.モグワイはひとつじゃない!


使用されているモグワイはロボットなのだろうか。そうだとしたら当時にしてはすごい技術だ、と思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は撮影に使用されたモグワイは一種類ではなく、いくつかの種類が用意されていました。シーンによって使うパペットを替えることで、モグワイの動きや表情を繊細に表現しているのです。何種類ものパペットを使っているとは驚きですね。

 


2.動かないパペット


動いているイメージが強いモグワイですが、動かないパペットも使われています。これはただ画面にモグワイが映るだけのシーンやカバンに入れられているショットで使われていました。確かにそれだけのシーンならば動かない普通のパペットで十分ですが、作中では生き物として扱われているため、動かないパペットにも命が宿っている感覚になってしまいます。

 


3.指人形のようなパペット


モグワイの上半身が動くシーンによく使われていました。パペットに手を入れると顔と両手が動くようになっていています。これはあくまで顔と両手しか動かないため、繊細な動きや表情を表現することはできません。そのため、モグワイがわいわい動いているシーンや引いたカットの撮影で使われていました。

 


4.リアルサイズのワイヤーパペット


大きさがリアルサイズのモグワイパペットで、体からいくつものワイヤーが伸びています。これによって遠隔操作でモグワイの表情や動作を表現していました。俳優に抱かれているシーンなど、俳優とともに出演する際に登場したモグワイで、作中でも一番使用されたパペットです。ワイヤーが映らないよう角度に気を付けながら撮影したそうです。

 


5.大きなワイヤーパペット


リアルサイズではなく、着ぐるみほど大きな上半身だけのパペットも使用されました。イヤーを操作することによって、モグワイに細かい表情をつけることが可能となり、これはモグワイが画面にいっぱいに映されるシーンなどに登場しました。大きなパペットですから、当然ながら俳優さんと一緒に映ることはできません。こちらも、リアルサイズのパペット同様、ワイヤーが映らないよう角度に注意したそうです。

 


6.ストップモーション・アニメーション


パペットにワイヤーをつけることで動くモグワイを表現してきましたが、モグワイの集団が暴れるシーンはワイヤーだらけになってしまいますから、さすがにそのパペットを使うわけにはいきません。そこで使われた技法が「ストップモーション・アニメーション」という技法です。
これは静止している物体を1コマごとに少しずつ動かしいき、それをカメラで撮影、繋げることで、連続で動いているように見せる撮影技術です。コマ撮りという呼び名の方が有名かもしれませんね。これによって、モグワイの集団が暴れる様子を表現しています。

 


7.あえて出すぬいぐるみ感


パペットと一言に言っても様々な質感、種類のものがあります。そんななかモグワイは本当に普通のぬいぐるみです。しかし、だからこそCGにはない温かみや優しさ愛くるしさ持ち合わせることが出来たのだと思います。また、『グレムリン』が撮影された当時、特撮技術は高い技術を持っていたため、モグワイに命を吹き込むことが出来たと思います。

 

如何でしたでしょうか。

CGやロボットではなく、大きさの違うパペットをいくつも使って撮影していたとは驚きですよね。今に比べると撮影が大変だったことは明らかですが、多くの方々の工夫と技術によって撮影された『グレムリン』は、見事誰からも愛されるキャラクターとなりました。モグワイに命が宿っていた何よりの証拠です。モグワイの可愛さと撮影技術の確認のためもう一度ご覧なってみてはいかがでしょうか。この記事が『グレムリン』をもう一度見るきっかけや楽しめる材料となっていただければ幸いです。

 

まとめ

『グレムリン』
モグワイに命を吹き込んだ7つの撮影技術

1. モグワイはひとつじゃない!
2.動かないパペット
3.指人形のようなパペット
4.リアルサイズのワイヤーパペット
5. 大きなワイヤーパペット
6. ストップモーション・アニメーション
7. あえて出すぬいぐるみ感