『フィラデルフィア』トムハンクスが熱演した9つの映画の見所

『フィラデルフィア』トムハンクスが熱演した9つの映画の見所
「フィラデルフィア」は1993年のアメリカ映画です。今でもエイズという病気に偏見を持っている人はいるかもしれませんが、この映画が制作された頃のエイズは確実に死ぬ治療法の無い病気でした。しかもゲイか麻薬中毒者がかかる病気だと思われたりしていました。そんな時代の空気を背景に、偏見と嫌悪に対する正義のための戦いが始まります。

アメリカ独立宣言が起草された都市フィラデルフィア。一流法律事務所で上級弁護士を目指すアンドリュー・ベケット(トム・ハンクス)は、ある日思いがけぬトラブルを理由に事務所を解雇されてしまいます。しかし真の理由は発病したエイズのせいでした。不当解雇の訴訟を起こすため旧敵の弁護士ジョー・ミラー(デンゼル・ワシントン)の助けを借りて、偏見と差別に対する戦いが始まります。「フィラデルフィア」9つの見所をストーリーにそってご紹介します。ネタバレありでご覧ください。

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※文中にエイズや人権問題についてふれる表現が出てきます。
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『フィラデルフィア』
トムハンクスが熱演した9つの映画の見所

 


その1:自由と正義と博愛の象徴「フィラデルフィア」


「フィラデルフィア」の舞台はその名のとおりアメリカ最初の首都であるフィラデルフィアです。この地に最初の居住区を建設した人々が古代ギリシャ語で「兄弟愛の市」を意味するフィラデルフィアと名づけました。この地で独立宣言が起草され今も自由の鐘が展示されています。アメリカをアメリカたらしめている自由と正義と博愛の象徴がこのフィラデルフィアという都市そのものなのです。だからこそこの映画はニューヨークでもロサンジェルスでもなくフィラデルフィアが舞台なのです。

 


その2:監督ジョナサン・デミ


この映画を監督したのはジョナサン・デミ。「羊たちの沈黙」の監督と言えばご存じの方も多いでしょう。今回は抑えた演出で静かにストーリーが進みます。しかしその抑えた演出がかえって監督の正義に対する強い意志を伺わせています。

 


その3:トム・ハンクス


主人公アンドリュー・ベケットを演じるのがトム・ハンクスです。エイズ患者を演じるトム・ハンクスの鬼気迫る演技こそが、この映画の一番の見所でしょう。若く野心に富んだ敏腕弁護士がエイズという病魔に蝕まれていく様を、恐ろしいほどの迫真の役作りで演じました。時間が流れるごとに痩せ衰えていく様は本当に病気なのではないかとまで思わせます。マリア・カラスのアリアを聴きながら語るシーンでは、死の側に足を踏み入れてしまっている人間の絶望的な孤独感とそれでも戦う強い意志が観る者の胸を刺しました。それまでは軽妙でコミカルな俳優と思われていたトム・ハンクスは、この映画でアカデミー主演男優賞を得たのでした。

 


その4:デンゼル・ワシントン


アンドリューに力を貸すことになる弁護士ジョー・ミラー。演じるのはデンゼル・ワシントンです。映画の主人公はトム・ハンクス演じるアンドリューですが、彼を受け入れ戦う同志となるジョーの存在なしにはこの映画は成立しません。そして自身の偏見とも戦いながらアンドリューを受け入れていく彼の抑えた演技はやはり名演と言えるでしょう。偏見を持つ役を演じることから逃げなかった勇敢さは画面の中で遺憾なく発揮されています。

 


その5:脇を固める俳優陣


主演の2人だけではなく脇を固める俳優陣も見所の一つです。アンドリューのパートナー役のアントニオ・バンデラス。カッコいい男の役が多い人ですが、この映画では実に繊細で優しい演技です。女性弁護士役のメアリー・スティーンバージェンも嫌な感じがいい感じでしたね。そして超ベテランの社長役のジェイソン・ロバーズと母親役のジョアン・ウッドワードの2人。アカデミー賞受賞者がこんなに出てていいのかと思えるような布陣です。誰もが大芝居ができる実力がありながら決して声高に叫ぶことはありません。その地味な演技にやはり演技派と思わせられます。

 


その6:音楽ブルース・スプリングスティーン


音楽は映画の重要な要素です。この作品でもオペラの曲が印象的な使われ方をしています。けれどもっともアメリカらしかったのはブルース・スプリングスティーンの歌う「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」でしょう。低いしわがれ声で淡々と歌われるバラードが、映画とアメリカのどちらをもあらわしているようでした。ブルース・スプリングスティーンはこの歌でアカデミー歌曲賞を受賞しました。

 


その7:偏見


人には誰しも何らかの偏見があります。それがなんであれ自身の持つ偏見から自由になるのは難しいことです。弁護士のジョーもそうでした。弁護士という理性も知性も十分な職業の人間でありながら、エイズやゲイに偏見を持たずにいられません。けれど命の最後の火を燃やしながらも戦おうとするアンドリューの姿に、ジョーの偏見は少しずつ溶かされていきます。偏見から自由になるのは難しいことです。けれどけして不可能ではないことを「フィラデルフィア」は教えてくれます。

 


その8:正義


アメリカは多民族社会であり日本のような暗黙の了解だのなんとなくの常識だのは通用しません。そのために法律があり法の前では万人が平等なのがアメリカ社会です。ジョーにはエイズやゲイに対する偏見がありました。しかしエイズであるからと差別的な態度をとられるアンドリューを見てジョーは我慢できなくなります。偏見があっても差別をよしとしない正義。そしてエイズもゲイも関係なく、不当解雇という違法行為に対して立ち向かっていきます。この映画はそれがアメリカの正義なのだと静かに訴えています。

 


その9:俳優生命のすべてををかけた勇気


役柄と俳優本人を同一視してしまうのはよくあることです。コメディタッチの俳優であったトム・ハンクスがゲイでエイズであるアンドリューを演じるのはかなりの賭けでした。それでも彼はこの役を受け、見事に演じ切りました。役柄とも共通するその勇気こそが、彼にオスカーをもたらしたのでした。

 

いかがでしたか。

以上が「フィラデルフィア」の9つの見所です。アメリカという国の自由や平等や正義というものを静かに訴えかける映画でした。是非ご自分の中の勇気について考えながらご覧いただきたいと思います

 

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まとめ

『フィラデルフィア』
トムハンクスが熱演した9つの映画の見所

その1:自由と正義と博愛の象徴「フィラデルフィア」
その2:監督ジョナサン・デミ
その3:トム・ハンクス
その4:デンゼル・ワシントン
その5:脇を固める俳優陣
その6:音楽ブルース・スプリングスティーン
その7:偏見
その8:正義
その9:俳優生命のすべてををかけた勇気