『フィラデルフィア』映画スターの素顔に迫る!9つの裏話

『フィラデルフィア』映画スターの素顔に迫る!9つの裏話
1993年のアメリカ映画「フィラデルフィア」。エイズにかかったゲイの弁護士の不当解雇に対して、元弁護士が弁護士を雇って大手弁護士事務所を訴えるという、単純なようで重い映画でした。エイズの元弁護士アンドリュー・ベケットをトム・ハンムス、アンドリューを弁護する弁護士ジョー・ミラーをデンゼル・ワシントンが演じました。

フィラデルフィアはアメリカにとって特別な都市です。それは自由・平等・博愛・正義といったアメリカらしさの象徴となる場所だからです。そこで起きたエイズが原因の不当解雇と、命の火が燃え尽きようとする中で戦おうとする主人公。主人公に手を貸す弁護士と支える家族やパートナー。「フィラデルフィア」の魅力を俳優たちの裏話からご紹介します。ネタバレありでお楽しみください。

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※文中にエイズや人権問題についてふれる表現が出てきます。
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『フィラデルフィア』
映画スターの素顔に迫る!9つの裏話

 


その1:トイ・ストーリーのウッディって実は!?


主人公アンドリュー・ベケットを演じたのはトム・ハンクスです。1956年生まれでアメリカの長寿バラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演したり、「スプラッシュ」「ビッグ」などの軽妙でコメディタッチな役柄を演じる俳優として人気がありました。「ビッグ」ではアカデミー主演男優賞にノミネートされ、ゴールデン・グローブ主演男優賞などを受賞しています。あまり知られていないことですが「トイ・ストーリー」のウッディの声を担当しています。

 


その2:役作りに体重を16キロ減!


それまで軽妙でコミカルな演技を持ち味としていたトム・ハンクスが、初めてシリアスな役柄を演じたのが「フィラデルフィア」でした。しかもゲイのエイズ患者というシリアスな中でも重すぎるほどの役柄です。16キロも体重を落とし、実際の患者とともに過ごして役作りをしました。その演技はその後の彼のすべてを変えたと言えます。それまでのキャリアが危うくなるかもしれないこの役を、彼は勇気を持ってやり遂げました。そしてこの映画でアカデミー主演男優賞を受賞し、翌年には「フォレスト・ガンプ」で2年連続主演男優賞受賞という快挙を成し遂げました。トム・ハンクスが真面目で誠実な人物を持ち役とするようになったのは、すべてこの映画が始まりでした。

 


その3:アカデミー賞受賞歴2回!


ゲイに偏見を持ちながら主人公の弁護士となるジョー・ミラー。演じるデンゼル・ワシントンは1954年ニューヨーク州生まれのアフリカ系俳優です。1989年の「グローリー」のトリップ二等兵役でアカデミー助演男優賞を、2001年の「トレーニングデイ」では主演男優賞を受賞しています。

 


その4:誠実で抑制のきいた演技


デンゼル・ワシントンは史上2人目のアカデミー主演男優賞受賞者です。アフリカ系俳優といえばコミカルな役か下種な悪役しか与えられなかった時代に、彼は知的で誇り高い人間である役を演じました。その矜持(きょうじ)にふさわしく、ゲイに対する偏見を持ちながら万人に平等である法の尊厳を守る弁護士を演じます。彼の誠実で抑制のきいた演技は好悪の感情と偏見や差別は違うのだとはっきり訴えかけてきます。

 


その5:マッチョでセクシーなラテン俳優


アントニオ・バンデラスは1960年スペイン生まれの俳優です。アメリカに来てからはマッチョでセクシーなラテン俳優といったイメージですが、スペインではむしろ繊細なキャラクターで有名でした。「フィラデルフィア」で彼が演じたアンドリューのパートナーであるミゲルも、繊細な優しさをたたえてアンドリューを支えていましたね。「デスペラード」や「マスク・オブ・ゾロ」との違いに驚きます。

 


その6:バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクの恋人役


ベリンダ・コーニン弁護士役のメアリー・スティーンバージェン。ずいぶんとイヤな感じの弁護士役でしたが、そこはアカデミー助演女優賞受賞者ならではの演技で、実際はよきお母さんでもあります。「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3」でドクの恋人役をやった理由の1つが「子ども達が大ファンだから」でした。

 


その7:し、渋いぜ!ハイジのおじいちゃん


チャールズ・ウィーラー社長を演じたジェイソン・ロバーズは2度のアカデミー助演男優賞を受賞している演技派です。「ジュリア」で演じたダシール・ハメット役もアカデミー賞にふさわしい渋さでしたが、今回も素晴らしい演技です。弁護士としては素晴らしい人物、しかしゲイに対する偏見の枠から出られない。アンドリューが倒れた時に真っ先に「医者を!」と叫んだ彼は、悪人ではないがゆえの苦悩を背負っていました。アメリカのテレビ映画ではハイジのおじいちゃんを演じています。

 


その8:ハリウッドが最初に認めた女優!


アンドリューの母サラ・ベケットを演じるジョアン・ウッドワードは、日本では「ハスラー」で主演男優だったポール・ニューマンの奥さんと言ったほうが有名かもしれません。息子を信じ支え続ける強い母がとてもステキでしたね。けれど、けしてそれだけではなくアカデミー主演女優賞やカンヌ国際映画祭女優賞などを受賞している名女優なのです。ハリウッド大通りに名前入りの星が刻まれるハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム、その1人目に認定されたのは彼女でした。

 


その9:偏見と闘うエイズキャリアの人たち


「フィラデルフィア」には実際のエイズキャリアの人たちが53人出演しています。病院の患者役や、ゲイ・パーティの出席者、アンディに唯一好意的だった元上司役のロン・ボーター。この映画が公開された頃にはそのうちの43人が亡くなっていました。主人公のアンディと同じく偏見と闘うために命の火を燃やし尽くした人たちが「フィラデルフィア」を支えました。

 

「フィラデルフィア」の9つの裏話を出演したスターの側からご紹介しました。鬼気迫る演技も静かに受け止める演技も脇を固める演技も、どれも見逃せないのがこの映画です。スターの素顔を意識しながらお楽しみください。

 

☆おすすめ映画☆
・フォレスト・ガンプ
・トレーニングデイ
・デスペラード
・ジュリア
・ダラス・バイヤーズクラブ

 

まとめ

『フィラデルフィア』
映画スターの素顔に迫る!9つの裏話

その1:トイ・ストーリーのウッディって実は!?
その2:役作りに体重を16キロ減!
その3:アカデミー賞受賞歴2回!
その4:誠実で抑制のきいた演技
その5:マッチョでセクシーなラテン俳優
その6:バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクの恋人役
その7:し、渋いぜ!ハイジのおじいちゃん
その8:ハリウッドが最初に認めた女優!
その9:偏見と闘うエイズキャリアの人たち