『フリーダム・ライターズ』は、2007年にアメリカで公開された、実話を基にした映画です。1994年のロサンゼルス、ロングビーチにあるウィルソン高校。その高校は、ロサンゼルスでも特に様々な人種が集まる、縄張り意識の強い地域にありました。そこで加熱する人種争いの中、未来に夢を持てず荒れた生活を送る生徒たち。そんな生徒たちを見限る学校側に、ヒラリー・スワンク演じる一人の新任教師エリン・グルーウェルが赴任してきます。
この映画は、そのウィルソン高校に実在した高校教師エリン・グルーウェルと生徒との交流を、1999年に発表した”The Freedom Writers Diary”を原作に映画化した、感動の実話です。教師と生徒たちが、アメリカ社会に衝撃と影響をあたえた、あらすじをネタバレになりますが、ご紹介しますので、ご参考にしてお楽しみください。
『フリーダム・ライターズ』
金八先生より凄い教師!9つのあらすじ
1.様々な人種が通うウィルソン高校
ロス暴動から間もない1994年、ロサンゼルスの郊外ロングビーチにあるウィルソン高校は、登下校も命がけで行うほど、肌の色による人種が激しく対立し、治安が悪化していました。貧困による憎悪と犯罪が繰り返されるこの地域では、学生たちも卒業まで”生きて”いられれば、それで十分と思うほど。荒れ果てた教室では授業もままならず、教師たちまでも彼らを見捨てていたのです。
2.新任教師エリン・グルーウェル
そんなウィルソン高校の203教室に、新任教師エレン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)が赴任してきます。エレンは、弁護士になる道を捨て、法廷より教室で子供たちを救いたいと教師になった、情熱と強い意志の持ち主。希望に胸を膨らまし登校するのですが、支配階級である白人の女性教師は、生徒たちにとって別世界の住人でしかなかありません。ラップの音楽を授業に取り入れてみたり、子供たちの心を開かせる為に努力し続けるのですが、生徒たちを統率することは一向に出来ず、教室では騒ぎだす生徒たちの争いが繰り返されるのでした。
3.教師たちからの拒絶
ある日の教室、ラティーノ(ラテン系のアメリカ人)の生徒が黒人を馬鹿にした絵を描いたことをきっかけに、エリンと生徒たちのすさまじい口論がはじまります。生徒たちは、世の中の白人至上主義と教師への反発を、エリンに一斉に浴びせるのです。エリンは激しく反論し、第二次大戦のホロコースト(ナチス・ドイツがユダヤ人などに対して行った大量虐殺)がこうした差別から生まれたことを話し聞かせようとします。ところが、子供達はホロコーストもアンネの日記のことも何も知らないのです。生徒たちの置かれる実生活を改めて知ったエリンはショックを受け、教育の大切さを痛感します。そして、せめて教材として、アンネの日記の本を生徒たちに読ませたいと思うのですが、教科主任や他の教師たちから予算の無駄だと拒絶されてしまいます。エリン以外の教師たちは、抗争に明け暮れる生徒たちには、知的興味などあるわけがないと思っているのです。
4.日記帳に綴られた生々しい現実
次の授業でエリンは自費で購入した日記帳をクラス全員に配ります。お互いを知ろうともせず、憎しみ合う生徒たちに、何でもいいから本当の気持ちを書いてみることを提案するのです。そして、自分に読んで欲しい時にはロッカーに入れるように話します。はじめは躊躇していた生徒たちも、徐々に日記に本音を綴るようになっていきます。驚いたことに、殆どの生徒が日記帳をロッカーに入れるようになり、彼らの生々しい言葉の数々と、出口のない悲惨な生活を実感したエリンは、教師とアルバイトを掛け持ちしてでも、彼らに本を買い与えようと決心するのです。
5.自費で行う課外授業
教師をしながら、デパートでのパートや週末のホテルで働きはじめるエリン。数週間後、そのアルバイトで貯めたお金で、エリンは生徒たちに、人種差別の象徴的な出来事を教えるため”ホロコースト博物館”へと連れて行きます。その後も、自分のアルバイト先であるホテルに、ホロコーストの生存者を招き、生徒たちと対面させるなど、課外授業を自費で行うのでした。
6.生徒たちの変化
生徒達はホロコーストで人種問題を知り、生存者に体面する感動の日を過ごしたことで、エリンに心を開きはじめました。そして、はじめて感謝の気持ちを日記に綴るようになるのです。やがて荒れ果てていたウィルソン高校の203教室は、人種の壁を越え仲間意識が芽生えるように変わっていきました。エリンは、生徒達の素晴らしい”変化”に感激して喜ぶのでした。
7.孤立するエリン
なんと、全員が2年生へと進級でき、203教室がひとつになった瞬間、エリンには別の問題が生じます。エリンの高まる熱意に反して、夫スコットの心は彼女から離れ、学科主任や教師たちからの反感も増徴していくのです。学校側との対立が深まり、夫もついには出ていき、エリンは孤立してしまいます。それでも彼女の意志は強く、生徒たちに、アンネの日記の感想文を書く代わりに、アンネ・フランク一家を匿った、ミープ・ヒースに手紙を書くことを提案します。生徒たちはエリンの提案をさらに発展させ、高齢でありながら存命の、ミープ・ヒースをアメリカに招待することを考え募金を始めます。”変化”の名の下に始まった募金活動は、新聞などメディアにも取り上げられるようになり、ミープ・ヒースが、ついにウィルソン高校へ訪れることになりました。
8.黒人生徒の逮捕
そんな中、また悲しい事件が起こります。近所のコンビニ銃殺事件にエリンのクラスの生徒が関与していたのです。主犯は黒人生徒のグラント、目撃者も同じクラスのエバ(エイプリル・リー・エルナンデス)という最悪の状況。エバは同じクラスの仲間の犯行を正直に証言するべきかどうか最後まで悩んだ末、偽証することをしないで真実を全て証言することに決め、グラントは罪を償うため逮捕されることになるのです。仲間を裏切ったとエバは襲われ、住んでいた縄張り地域から追放されてしまいます。それでも、エリンだけは見放さず、エバの為に放課後だけでも一対一で勉強を教えることを決意するのです。
9.最後のプロジェクト
生徒たちのためなら、どんなことでも自分を犠牲にしてまで、信念を持って続けるエリンに、生徒たちの嘆願もかなわず、学校側は3年の受持ちを拒否してしまいます。落胆するエリンでしたが諦めず、最後のプロジェクトとして、生徒達の日記帳を本にしようと考えはじめます。その本を”The Freedom Writers Diary”と名付け、実行に移るエリン。取り巻く社会からの逆風の中、エリンと生徒たちは無事卒業の日を迎えることができるのでしょうか・・・。
如何でしたでしょうか。
『フリーダム・ライターズ』金八先生より凄い教師!9つのあらすじをご紹介しました。エリンと実在の生徒たちは、映画のラストでキング牧師の有名な一説「I Have A Dream」をサンプリングした曲にのって、紹介されます。エリン・グルーウェルが最後にまとめた日記”The Freedom Writers Diary”は1999年に出版され、 ”203のような教室”を多く作ろうと、”フリーダム・ライターズ基金”が設立されます。一人の新米教師と一冊のノートが起こした実話に基づく奇跡の物語を、機会があったらぜひご覧になってみてください。
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まとめ
『フリーダム・ライターズ』
金八先生より凄い教師!9つのあらすじ
1.様々な人種が通うウィルソン高校
2.新任教師エリン・グルーウェル
3.教師たちからの拒絶
4.日記帳に綴られた生々しい現実
5.自費で行う課外授業
6.生徒たちの変化
7.孤立するエリン
8.黒人生徒の逮捕
9.最後のプロジェクト